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2005年08月08日

【18きっぷ】神岡鉄道を訪ねて<§3:神岡鉄道>

7月26日(火)、雨

目覚ましが鳴る。でも夜が明けた気配がない。変だなと思って窓の外を見ると隣の建物の壁がありました。部屋が暗いままなので目覚ましが鳴らなかったら危うく寝坊するところでした。
TVを見ながら着替えを済ませ、ホテルを出ると雨が降っています。傘をさすのも面倒なので小走りで駅に向かいます。今日はいよいよ神岡鉄道に乗ります。元は国鉄神岡線で昭和59年に第三セクター化されました。北陸中日新聞の特集記事によれば、その歴史は『明治末期の神岡鉱山の馬車軌道にまでさかのぼる。その後三井金属鉱業の軽便鉄道を経て、国鉄神岡線が開通』といい、意外に奥が深い路線です。そんな神岡鉄道も稼ぎ頭だった貨物輸送がトラックに置き換えられたことから来年度末に廃止されることになりました。乗っておくなら廃線を惜しむ人が大量に来る前の静かな今が狙い目です。どのような路線なのでしょうか。楽しみです。
されど腹が減っては戦が出来ぬ。まずは構内の便利雑貨ハート・インで朝の食べ物を買い、高山本線の気動車に乗り込みました。

844D@富山駅

2両編成の富山7:35発、844Dはですでにほぼ満席状態でした。ローカル線だから座れるだろう。のんびりボックスシートで飯にしようと考えていたのは甘かった。ロングシート部にようやく空きを見つけ、腰を下ろしたら間もなく発車しました。
外観に似合わず気動車は軽快に田園風景の中を走っていきます。晴れていれば頂上に雪を冠した山々が見える風光明媚な路線ですが、今日はあいにくの天気なのが残念です。
途中の速星から高校生らしき学生の集団が乗ってきます。短い車両はあっという間に通勤電車並みの混雑となりました。それでも2両でまかなえる乗客数ですから、混雑の度合いといってものんびりしたものではあります。
越中八尾では学生たちを含めて一般客がどっと降ります。これ幸いとボックス席に場所を移してゆっくり朝ご飯をいただきました。

朝飯@844D

北陸の汽車旅で食べるものといえば、まずは昔亭(せきてい)の「ますの寿司」です。今朝はこれに併せて「あなご寿司」も買ってみました。おにぎりタイプになっていて食べやすい。このおにぎりタイプの「ますの寿司」は近鉄京都駅構内のam/pm近鉄京都駅店にも置いてあり、小腹が空いた時はたまに買って食べています。

844D@猪谷駅

「あなご寿司」の意外な美味しさに舌鼓を打つうちに終点猪谷に到着。猪谷から飛騨古川までは台風被害により不通のため、この区間は代行バスが用意されています。途中、橋が流されていたりするため復旧にはしばし時間がかかりそうです。

猪谷駅舎

のどかな駅のたたずまいです。画像左側に見えているのは濃飛バスが運行する代行バスです。
乗り継ぎに少し時間があるので駅前をぶらついてみます。駅前から国道まではほんの100メートルほどしかなく、食料品店と酒屋が目に入るほかはこれといった商店はなく、朝が早いこともあってか人通りもほとんどありません。駅前に郵便局があり、旅行貯金の余裕はたっぷりありましたが、あいにくまだ営業開始前の時間帯でした。

おくひだ2号@猪谷駅

時が流れ、駅に戻るとすでに神岡鉄道の気動車が入線しています。単行の車はどこかで見たことがあるようでここだけにしかないような型をしています。車内は雪深い山間の土地を走るからなのでしょうか、冷房がついていません。

おくひだ2号@猪谷駅

座席は通常のボックスシートを改造して、テーブルをコの字型に囲む配置になっています。車端には囲炉裏を模した席もしつらえてあり、通勤客のためというより行楽の利用者のために楽しんで乗ってもらおうという考えのようです。しかし、テーブルと座席の間隔が狭いために小柄な方以外は窮屈に思えるかも知れません。

囲炉裏@おくひだ2号

気動車は定刻の8:53にゆっくりと動き出しました。発車時点の乗客は二人です。一人は記念乗車券の類を持っているので、地元の利用者ではないでしょう。もう一人はもちろん私です。
2つめの茂住駅から地元の方が5人ほど乗ってこられました。茂住駅から近いところに東大宇宙線研究所スーパーカミオカンデがあるそうです。ノーベル賞が取れるほどの研究施設ですが、門外漢には何がなにやらさっぱりです。なお神岡町のサイトによればニュートリノを始めて検出したのは昭和62年のことだそうです。

神岡鉄道はトンネルに始まり、トンネルに終わる路線です。猪谷駅を出るとすぐに県境を越えて富山県から岐阜県に入り、神通川と国道41号線に沿って進みます。トンネルに入ってしばらく走ると駅。駅を出るとトンネル。トンネルを出たところに駅。そのようなことの繰り返しで「奥飛騨の地下鉄」と異名を取るだけのことはあります。しかし窓から見る風景は神通川に姿を見せる奇岩などのおかげで楽しめるものです。また路線図を見て分かるように、駅によっては七福神がそれぞれ一体ずつ安置されています。神様を置く由来については分かりませんが、ふと目に付くと心が和みます。
そのほか、神岡鉱山前駅では今や珍しくなったタブレットの交換が行なわれ、飛騨神岡駅には床屋さんが営業中。

奥飛騨温泉口駅

そして神岡鉄道本社がある奥飛騨温泉口駅には国鉄時代の駅舎を改装した喫茶店「あすなろ」と囲炉裏を配した民家風待合所があるなど、面白い特徴を持った駅が揃っています。

奥飛騨温泉口駅前

駅前には引退した貨物用ディーゼル機関車が置かれ、どのような鉄道路線として歴史を歩んできたかが分かります。

あすなろの看板周辺を散歩してみましたが、砂防工事事務所や製材所みたいなものばかりです。どこへ行くあてもないので駅に戻り、前述した国鉄時代の駅舎を改装したという喫茶店に入ります。

あすなろ内部なるほど、「貨物取扱所」の看板が元国鉄の駅らしい雰囲気を伝えています。とかく無造作になりがちな雑誌類はきちんと整頓されていて好感が持てます。

アイスコーヒー@あすなろ

アイスコーヒーを注文すると、タイムサーヴィスでトーストがついてきました。コーヒーの味は文句なしです。旅先で飲むコーヒーや酒はなにしろうまい。しばしぼおっとさせていただきました。これでお値段は400円でした。
店にはかなりの台数が止められる駐車場があり、地元の人はもとより車旅の人も気軽に立ち寄れます。

あすなろ内部

落ち着いた店内の様子をもう一枚どうぞ。
10:45、奥飛騨温泉口発。この後は金沢へ向かい、北陸鉄道の未乗路線を征服しておこうと思います。淡々と富山まで戻り、北陸本線の各駅停車で金沢へ。ボロい昔の急行型電車ながらそこそこの速度で飛ばし定刻に金沢着。順調であればこれから北陸鉄道浅野川線と石川線の野町〜新西金沢間を楽しむはずでした。が、台風が接近しているとかで関西方面を結ぶ特急列車に遅れや運休が出ています。めったなことで普通列車が止まることはないと思いますが、明日は早朝から仕事があるために大事をとって帰ることにしました。悔しいですが、またにします。

特急退避

金沢駅の売店でビールと「ますの寿司」などのつまみを揃えて14:03発の普通列車に乗ります。途中の美川駅で特急「雷鳥」を退避。この列車がすでに4分ほど遅れて運転しています。大丈夫でしょうか。福井へ向けて進むうち、沿線の木々や田んぼの稲が大きく揺れるのが見えます。割合強い風が吹いています。が、乗った列車は特急退避の際の遅れを引きずっただけで無事に福井着。

419系体質改善車

福井から先は遅れとはいえないくらいの遅れで順調に進みます。敦賀では電車の写真を撮れるほど余裕もあります。長浜、米原とうち過ぎて何事もなく京都駅に到着。そうすると欲が出てくるもので、これなら金沢で北陸鉄道に乗れていたな、などと過去を振り返ってしまいます。なに、まだ休みを取ろうと思えば取れる。次回に期待です。
(了)

投稿者 うえの : 2005年08月08日 20:30

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何とも良い雰囲気の駅でした(^^)。 [続きを読む]

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» さよなら神岡鉄道 from トラベログ
岐阜県奥飛騨の神岡鉄道。 今年11月末で廃止となります... [続きを読む]

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