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2006年01月16日

【長崎】松浦鉄道・福井川橋梁は竹筋橋の可能性

耐震強度を偽装して喜ぶ反社会的人間がいるかと思えば、知恵を絞って独特の建築物を作る人もいます。前者は恥ずべき犯罪者として後世に名を留め、後者は知恵者としてその功績が語り継がれます。
長崎県でこのたび大東亜戦争中に作られた鉄道橋に意外な材料が使用されているのが分かりました。戦争遂行のための資材が不足しており、軍が鉄の供出を命じていた頃です。
橋の上を重い列車を走らせるには頑丈なコンクリートと鉄筋が不可欠と思いがちのところをこの長崎県の松浦鉄道にある福井川橋梁は竹が鉄筋の代用とされているらしいのです。
松浦鉄道にはずいぶん昔に乗っていますがそんなことは当時はもちろん知らないことでした。假令知っていたにせよビール片手に昼行灯よろしく車窓を眺めているようでは全く気付くこともなく旅を終えていることでしょう。生まれてこの方、乗って撮って楽しむだけの鉄道旅行が多かった点を反省して歴史的な側面もいろいろ調べて汽車旅を楽しみたくなってきました。
以下、16日付け産経新聞オンライン版の記事から抄録します。

竹でできた橋!?大丈夫 長崎・佐世保 戦時中に建設

≪「先人の工夫」調査へ≫
長崎県佐世保市のコンクリート製の鉄道橋「福井川橋梁」に鉄筋の代用で竹が使われている可能性のあることが分かり、列車を運行する第三セクターの松浦鉄道工学院大が二月上旬に橋に小さな穴を開けて「先人の工夫」について調査することになった。安全性に問題はないといい、松浦鉄道は、竹であることが確認されれば“竹筋橋”としてPRしたい考えだ。
橋は物資不足の太平洋戦争中に旧鉄道省が造ったもの。工学院大の研究者によると、同時期に鉄道省が造った熊本県小国町の幸野川橋梁も同様の“竹筋橋”だが、路線が廃線となり列車は走っていないという。
福井川橋梁は、佐世保市吉井町の福井川に架かり、長さ七十九メートル。川からの高さは二十二メートルで、美しい三連アーチ橋として鉄道ファンの間では知られている。
地元の地域おこしの一環として鉄道に関する話題を集めたところ、昭和十七年の建造時を知るお年寄りから「鉄筋ではなく竹を組んでいた」との証言が寄せられた。
建造の前年には金属類回収令も公布されており、竹で鉄筋の代用をしたとみられる。調査に協力する工学院大の玉井孝幸さんは「建築資材がない時代の技術者がいかに困難を克服したかを調べたい」と話している。
【2006/01/16 大阪夕刊から】
(01/16 16:24)

■参考サイト
▼土木学会図書館「3.鉄道、トンネル」
▼土木学会図書館「戦前絵葉書 4.鉄道省−1」
▼土木学会図書館「戦前絵葉書 4.鉄道省−2」

投稿者 うえの : 2006年01月16日 19:45

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