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2005年12月15日

【千葉】いすみ鉄道がBDF車の実験へ

環境問題というと必ずといっていいほど悪役になるのがディーゼルエンジンです。もっとも、ディーゼルエンジンそのものが悪いとは言い切れず、日本の場合は軽油の脱硫が西欧の水準まで成されていないがために汚い黒い煙(パティキュレート)が出やすいのだとか。ディーゼル車に日が当たらないのは、はっきり言って軽油の質が悪いのと、ディーゼル車なのだからこんなものでよかろうと自動車メーカーらがまともにディーゼルエンジンと燃料の開発に取り組んで来なかった結果が招いたことではなかろうか。自動車評論家の一部が日本ではお目にかかれないような素晴らしいディーゼル自動車が西欧ではわんさか走っていると言います。日本は今やアメリカと肩を並べる自動車生産大国とはなりましたが、本当にいいものを作るためにはまだまだ欧米から勉強すべきことが沢山ありそうです。たとえばコモンレールという高い効率の燃焼システムを実用的に発展させるきっかけとなったのはデンソーの技術者だということもあり、たくさんある可能性をみすみす日本は国内で捨てているような気がするのです。
さて、ディーゼルエンジンを利用する乗り物としては鉄道の気動車もその仲間です。千葉県のいすみ鉄道(前・国鉄木原線)では廃食油を再利用する植物性の油を用いて気動車を運行する実験を始めるようです。この油はバイオディーゼル燃料、BDFなどとも称されます。軽油に比べて黒煙はおよそ3分の1で硫黄分は排出されないとされています。ただし、現状では品質管理やコスト面で難しい点があり、どれだけ普及するかはこれからの環境施策やディーゼルエンジンを比較的よく使う企業などの取り組みいかんにかかっています。
すでに地方自治体の中には試験的にバイオディーゼル燃料を使って路線バスを運行している例がいくつかあります。鉄道でこうした取り組みの姿勢を見せるのはいすみ鉄道が初めての例だそうです。バスや鉄道で使われるディーゼルエンジンの排気量は結構大きいのできれいな排出ガスが望めるというのは環境面での効果は大きいはずです。いすみ鉄道の動きが広まって、ただの一実験例で終わることがないよう成功を祈っています。
15日付け毎日新聞がこの動きを伝えています。

いすみ鉄道:廃食油を再利用し運行 千葉の3セク実験開始

千葉県大多喜町などが出資する第三セクター「いすみ鉄道」が15日から、ディーゼル列車の燃料に廃食油を再利用したバイオディーゼル燃料(BDF)を使う実験を開始する。BDFはバスなどに使われるが、鉄道への利用は初めてという。07年度にもBDFによる営業運転を実現させたい考えだ。
いすみ鉄道は外房線の大原駅を起点にする全長26.8キロのローカル線。BDFは植物や動物の油脂から作られ、エンジンを新調する必要もない。
実験は終列車後の夜に行う。まず軽油にBDFを5%混ぜて加速時間を調べ、軽油だけの場合と比較しながらBDFの量を増やしていく。
大多喜町は昨年、揚げ物などで残る廃食油を一般世帯や給食センターから回収する仕組みを作った。実験期間中は民間企業からBDFの無償提供を受けるが、運行にめどが立てば自前の製造プラントも用意するという。町は「資源循環型社会のモデルケースにしたい」と意気込んでいる。【寺田剛】
毎日新聞 2005年12月15日 3時00分

▼<Google検索/いすみ鉄道+bdf>

投稿者 うえの : 2005年12月15日 20:27

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